デンタルケア:歯周病に対する抗生物質治療2016.05.07
歯周病に対する抗生物質治療

歯周病とは歯の周りの組織(歯肉や歯槽骨など)が破壊される病気です.
一度,歯周組織が破壊されると元に戻すことの出来ない不可逆性の病態です.


犬・猫の歯周病の原因となる細菌は,「ポルフィロモナス・グエラ」と言われています.この「ポルフィロモナス・グエラ」は,歯周ポケットと言われる場所に潜み,歯肉の内面に潰瘍を形成し出血を引き起こしながら増殖します.
その結果,歯槽骨をを融解し,歯の脱落や歯尖膿瘍を引き起こします.


さて,この歯周病の原因菌をやっつける方法は…

1)歯石取りの手術(スケーリング)がなんと言っても1番の解決策です!
歯石や歯垢が付いていなければ歯周ポケット形成されませんので,
原因菌の「ポルフィロモナス・グエラ」の増殖も起こりません.

12歳を超えると麻酔のリスクが上昇しますので,それまでに歯石取りの手術をすると良いでしょう.

2)歯周病に対する抗生物質治療
高齢であったり,どうしても麻酔を必要とする歯石取りの手術をためらう場合には,「ポルフィロモナス・グエラ」に有効性が示されてる抗生物質を投与することで,原因細菌の数をへらして歯周環境を改善することができます.
クリンダマイシン製剤の投与によって,口臭,出血,歯肉炎による発赤・痛みなどの症状が軽減するとの報告があります.

クリンダマイシン製剤による除菌療法も歯周病に対しての有効な治療オプションとなります.

クリンダマイシン製剤としては,  
  「ビルデンタマシシン75」,「ダラシンカプセル150mg」などがあります

デンタルケア:歯周病に対する抗生物質治療

  歯周病でお困りの方は,まず,ご相談ください.病院



 
デンタルケア::歯周病の検査:オーラストリップ2016.04.27
歯周病の検査:オーラストリップ

歯周病とは歯の周りの組織(歯肉や歯槽骨など)が破壊される病気です.
歯石が付いていても歯周病になっていないという場合はあります.
しかし,口臭が強い場合は,ほぼ間違いなく歯周病が発生しています.


この春,歯周病を簡単にチェックする検査キット「オーラストリップ」が発売されました.
検査用の紙片を上顎の歯肉縁(歯肉が歯に接する所)に当て,穏やかに滑らせて口腔内の浸出液(唾液,および歯肉溝浸出液)を染みこませます.10秒後に検査用の紙片のパッド部の発色を判定シートの発色サンプルと照合して歯周病があるかないかを調べます.
この検査は,歯周病の原因菌である口腔内嫌気性細菌の代謝産物で,口臭の原因物質である「チオール」の濃度を段階的に視覚化することで歯周病の有無,程度を判定することができる簡単な検査法です.


デンタルケア::歯周病の検査:オーラストリップ

愛犬の歯周病が心配な方は,歯周病の検査「オーラストリップ」の検査を受けてみてはいかがでしょうか?

 
デンタルケア:歯石取りの手術(スケーリング手術)2016.04.07
歯石取りの手術(スケーリング手術)のお薦め

歯石の付着が見られる,口臭が強く感じられる,歯茎が赤く腫れてきた,食事を食べにくそうにしているなどの症状が認められたら,それは歯周病である可能性があります.
これらの問題を解決するために,全身麻酔をかけて歯石取りの手術を行いましょう.歯石取りと同時に,ぐらついている歯などがあれば抜歯する場合もあります.付いている歯石を取り除く事で歯周病の根本的な原因を取り除く事ができます.

歯石取りの手術は歯周病に対してのもっとも効果的な治療法です

デンタルケア:歯石取りの手術(スケーリング手術)

全身麻酔下での処置ですので,麻酔が安全にかけられる状態であるかどうかを術前に検査する必要があります.術前検査としては下記の検査を行います.
  ・血液・血液化学的検査,
  ・胸部レントゲン検査
  ・その他必要に応じて心電図検査など
検査結果に問題がなく,麻酔が安全にかけられると判断した場合に歯石取りの手術が実施されます.麻酔は開腹手術などに比べると,動かないようにする事を目的とした浅い麻酔深度で済みますので,動物への負担は最小限のものと思われます.

麻酔リスクが高くなるシニア世代の前の時期(8歳前後の頃に),
一度,歯石取りの手術を行うことをお薦めします.


歯石取りの手術の詳細(方法)は,当院ホームページの「病院便り」の「デンタルケア:歯周病を考える」をお読みください.